人ひとひら 望月士郎/第6回海原賞受賞 特別作品20句

『海原』No.66(2025/3/1発行)誌面より

第6回海原賞受賞 特別作品20句

人ひとひら 望月士郎

地球儀の中は空っぽわたたんぽぽ
揺れている心ふらここ此処にいる
くしけずる白髪さくらさくららら
埼玉だって雨のたましいサイネリア
かたつむり両方つむり眠りの木
夕立をななめに日暮里西日暮里
蘭鋳のバロック白昼のロココ
砂日傘たまにはヒポポタマスかな
うらおもて躰うしろまえ踊
みんみんとしたまま夏のみんなゆく
みみず鳴くあたりに拾う右の耳
夕暮が鬼灯さわるさらわれる
月エロスふりむきふりむき顔カオス
みなねむり魚のみみが月の湖
サフランの夕暮れ永久にりふれいん
夕花野ひとっこ一人も ひょっとこ
わたくしの苦を無にかえて綿虫に
凩や小犬にこつんと頭蓋骨
ひびきあう金管楽器寒銀河
雪ひとひら人ひとひらや終着駅

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